浦﨑 寛泰

浦﨑寛泰(うらざきひろやす)
代表弁護士、社会福祉士

長崎県の離島(法テラス壱岐)で活動した経験や、法テラス千葉で障害のある方の刑事弁護を数多く担当した経験から、弁護士とソーシャルワーカー(福祉の専門職)が、分野や地域を越えて、普遍的に協働することができる仕組みが必要だと考えています。

個人の刑事事件から一般民事事件まで幅広く取り組んでいますが、最近は、特に、障害のある方の成年後見業務、性風俗で働くセックスワーカーの法的支援に力を入れています。

 

弁護士を志したきっかけ

大学2年生のときに、ハンセン病患者の隔離政策に関する違憲判決が出ましたが(2001年5月11日熊本地裁)、このニュースを見て衝撃を受けました。この日本で、ひどい人権侵害が四半世紀もの長きにわたり放置された状態だったということもさることながら、あの人権問題を手弁当で掘り起こして、裁判闘争を成し遂げた弁護士の努力も凄いな・カッコイイなと思ったのが弁護士になりたいと思ったきっかけです。

弁護士もアウトリーチが必要

司法試験に合格して間もないころ、先輩弁護士に連れられて、ホームレスの緊急一時宿泊施設での法律相談を見学しました。とあるホームレスの方が借金問題を抱えて、それを苦に夜逃げしてきたというのですが、よく話を聞いてみると、借金はとっくの昔に消滅時効にかかっていました。しかし、本人はそれに気づかずに悩んで、怯えていました。これまで、弁護士に相談しても無駄だと考えていたそうです。弁護士が「法律トラブルで困っていたら、相談に来てください」と呼びかけるだけでは不十分だと感じました。「困ったら来てください」というタイプの弁護士でなくて、「問題を掘り起こす」弁護士でありたいと思ったのです。福祉の世界では「アウトリーチ」といいますが、法的サービスを必要とする人や場所へ、こちらから近づいていくという姿勢が大事だと学びました。

ソーシャルワーカーとの協働が必要

法テラス千葉法律事務所に勤務していたとき、前科17犯の男性の弁護をしました。彼は、刑務所を出ても、身寄りがなく、寝る場所も食べるものもありませんでした。「刑務所に戻りたい」といって万引きや無銭飲食を繰り返し、何度も刑務所に出入りしていました。彼には実は知的障害があることが裁判の途中で分かったのですが、これまで少なくとも17回以上刑事裁判を経験しているのに、福祉サービスを受けたことは一度もありませんでした。日本の福祉制度の貧弱さを痛感するとともに、必要な支援につなげられない「刑罰を科すだけ」の刑事司法のあり方も問題だと思いました。幸い、この男性に対しては、力のあるソーシャルワーカーと出会うことができ、服役後の支援につなぐことができました。刑事事件に限らず、弁護士業務には、法律だけでは解決できない社会生活上の困難を抱えた人々と接する機会が沢山あります。あらゆる領域で、弁護士とソーシャルワーカーが協働する必要があると考えています。

力を入れている分野

2013年に東京TSネットを仲間と共に立ち上げて、罪に問われた障害のある方の支援に関わってきました。
また、PandA法律事務所では、主に知的障害や発達障害のある方の支援、なかでも成年後見業務に数多く関わってきました。
2015年から、性風俗で働く人のための無料生活・法律相談「風テラス」を定期的に実施しています。
弁護士法人ソーシャルワーカーズでは、分野を問わず、現場で活躍するソーシャルワーカーを弁護士の立場で支えられるような仕組み作り、さらに、弁護士たちがソーシャルワークについて学ぶことができる場作りをしていきたいと考えています。


経歴

1981年生まれ 岐阜市出身
2003年11月 司法試験合格
2004年3月 早稲田大学法学部卒業
2005年10月 東京弁護士会に弁護士登録
池袋総合法律事務所所属
2006年10月 長崎県弁護士会に登録替え
法テラス壱岐法律事務所(長崎県壱岐市)初代所長に就任
2009年10月 千葉県弁護士会に登録替え
法テラス千葉法律事務所(千葉市)初代所長に就任
2013年1月 東京弁護士会に登録替え
法テラス東京法律事務所所属
社会福祉法人南高愛隣会(長崎県雲仙市)に出向
2013年4月 東京きぼう法律事務所(パートナー弁護士)
2013年5月 東京TSネット設立(2017年5月まで代表理事)
2014年4月 社会福祉士登録
2014年6月 PandA法律事務所開設(代表弁護士)
2018年4月 弁護士法人ソーシャルワーカーズ設立(代表弁護士)

 

活動・所属団体

  • 日本司法支援センター(法テラス)業務支援室 室長(専門員)
  • 一般社団法人全国地域生活定着支援センター協議会 監事
  • 東京弁護士会 高齢者・障害者の権利に関する特別委員会 委員
  • 日本弁護士連合会 高齢者・障害者権利支援センター 委員 ほか

 

著書

  • 『子ども・大人の発達障害 診療ハンドブック』中山書店・共著
  • 『発達障害 支援の実際 診療の基本から多様な困難事例への対応まで』医学書院・共著
  • 『更生支援計画をつくる: 罪に問われた障害のある人への支援』現代人文社・共著
  • 『弁護士のための初めてのリーガル・ソーシャルワーク』現代人文社・共著
  • 『精神保健福祉の法律相談ハンドブック』新日本法規出版・共著
  • 『市民と司法の架け橋を目指して―法テラスのスタッフ弁護士』日本評論社・共著 ほか

 

論文

  • 「加害者となってしまう障害者の支援」さぽーと64巻7号・8号/日本知的障害者福祉協会
  • 「刑事弁護と更生支援」法律時報89巻4号/日本評論社
  • 「『再犯防止を目指さない』権利としての支援」罪と罰54巻2号/日本刑事政策研究会
  • 「『風テラス』デリヘル待機部屋での無料生活・法律相談」性とこころ8巻1号/日本「性とこころ」関連問題学会
  • 「『社会福祉法人の組織内弁護士』という可能性」法律のひろばvol66(3)/ぎようせい
  • 「『チョコレート缶事件』最高裁判決と弁護活動」季刊刑事弁護71号/現代人文社
  • 「裁判員裁判における『無罪』と『死刑』を考える」人権と部落問題No.813/部落問題研究所
  • 「覚せい剤の知情性が否定されて初の全面無罪となった事例–千葉地判平成22.6.22」季刊刑事弁護67号/現代人文社
  • 「裁判員裁判で初の全面無罪判決(覚せい剤取締法違反等)–法廷戦略の実践(特集 裁判員裁判の達成度と課題)」自由と正義vol61(10)/日弁連
  • 「座談会『日本司法支援センター』スタッフ弁護士1期生卒業!–総括と今後の展望」自由と正義vol61(2)/日弁連
  • 「特別賞 初めての最高裁--『有罪ありき』の責任能力判断を問う(第6回季刊刑事弁護新人賞)」季刊刑事弁護57号/現代人文社
  • 「養成事務所での1年間と常勤弁護士としての3か月間を振り返って(特集スタッフ弁護士養成の実践と課題)」自由と正義vol58(4)/日弁連  ほか